科研費申請書における「ポンチ絵」とはなにか?良い「ポンチ絵」の作り方

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皆さんは「ポンチ絵」と聞いてどんなものを思い描くでしょうか?
「ポンチ絵」という言葉は多義的な意味を持ち、その文脈によって異なる解釈が可能です。例えば、初期の風刺漫画や官公庁の公文書に掲載される図、機械設計や工業製品のラフスケッチなど、さまざまな用途で使われています。
この記事では、科研費申請者の文脈で使われる「ポンチ絵」とはなにかを解説します。

科研費申請書における「ポンチ絵」の定義


 科研費申請書における「ポンチ絵」とは、官公庁の公文書向けの図から派生した、研究の概要をビジュアルでわかりやすく端的に伝える図のことです。
 多くは科研費申請書の1ページ目に配置され、審査委員が研究の目的や方法、期待される成果を一目で理解できるようにすることが目的です。
 科研費申請書における「ポンチ絵」は、研究の魅力を伝え審査委員を引き込むものでなければなりません。


官公庁の「ポンチ絵」の問題点

 官公庁の公文書に使用される「ポンチ絵」はある大きな課題を持っています。
 官公庁の「ポンチ絵」は、その多くが官僚の手による素人作成の図であり、情報の整理よりも網羅性を重視しています。公務員という立場上、誤解を避けるためにあらゆる情報を詰め込む傾向があるため、レイアウトが必ずしも練られておらず、伝えたい要素をすべて盛り込むために、情報が過剰に詰め込まれ、逆にわかりにくくなっていることが多いのです。
 科研費申請書の「ポンチ絵」はこうした官公庁の公文書に使用される構想図の習慣を基に派生したものであるためか、研究者があらゆる情報を網羅的に詰め込もうとしてしまう傾向があります。

 

科研費申請用「ポンチ絵」の本質

 科研費申請用の「ポンチ絵」には、工場や建設の文脈で使われるラフスケッチ的な要素は見当たりません。むしろ、研究の理解を助ける、情報の完成度の高い高品質なグラフィックです。
 "良い科研費申請用ポンチ絵"は、審査委員の興味を引き、印象に残るものであり、研究内容を視覚的に効果的に伝えるために、情報を整理し、わかりやすくレイアウトされた図ということができるでしょう。

 

良い科研費申請用「ポンチ絵」の作り方

 「情報の整理と優先順位付け」がポイントです。
 官公庁の「ポンチ絵」の問題点である情報の過剰な詰め込みを避け、研究の最も重要なポイントを明確に伝えることを優先します。不要な情報は省き、審査委員が理解しやすいように情報を整理します。


「ポンチ絵」をプロのデザイナーに依頼する場合の注意点

 最近の科研費申請書の多くが「ポンチ絵」を採用しており、そのクオリティも向上しています。その結果、プロのデザイナーに相談するケースも増えています。プロのデザイナーに依頼する場合おさえるべきポイントをまとめました。

1.「ポンチ絵」の定義の目線をあわせる

 「ポンチ絵」の持つ言葉の多義性が原因で、科研費申請者とデザイナーの間で誤解が生じることがあります。
 特にデザイナーの文脈では「ポンチ絵」はラフスケッチや昔のマンガ風のものという意味合いが強いため、マイナスのイメージを持つことが多いです。「ポンチ絵レベルで良い」というのは、デザイナーによっては素人レベルで良いという意味合いとして捉える人間もいるため、きちんと科研費申請書や医学論文の文脈で考えられるデザイナーを選ぶことが大切です。

2.プロフェッショナルの役割と価値を理解する

 科研費申請者は、プロのデザイナーが持つ専門知識とスキルを理解し、その価値を尊重することが重要です。デザイナーは、視覚的な要素を効果的に整理し、メッセージを明確に伝えるためのプロフェッショナルです。

3.依頼内容を具体的に説明する

 依頼を出す際には、「ポンチ絵」の具体的な意味や用途について詳細に説明することが必要です。期待する成果や図の目的、ターゲットオーディエンスについても明確に伝えましょう。

4.参考資料を提供する

 過去の成功事例や参考になる図を提供することで、デザイナーが依頼者の意図をより具体的に理解する手助けとなります。
ただ官僚製作の「ポンチ絵」を提示すると同じレベルのものを想定してしまい、プロのデザイナーとの間で誤解が生じることがあります。

5.フィードバックを行うプロセスを確立する

 図の作成過程でフィードバックを行うプロセスを確立することで、誤解を減らし、期待に沿った成果物を得ることができます。途中段階での確認と修正を繰り返すことが重要です。

6.コミュニケーションの重要性を認識する

 初回のミーティングで、双方の理解を深めるための対話を重視し、専門用語の解釈や具体的な期待を明確にする時間を取ることが、ディスコミュニケーションを防ぐ鍵となります。


 デザイナーとのやり取りにおいて科研費申請書における「ポンチ絵」がラフスケッチの意味を持たないことに改めて注意してください。デザイナーが官公庁の「ポンチ絵」のレベルを想定し、なおかつラフスケッチ的なものとして理解してしまうと、依頼者が期待しているものとはまったく異なるものが出来上がってしまいます。
 科研費申請用の「ポンチ絵」は、情報の網羅性よりも整理された、視覚的に優れたものであるべきです。この点を理解しているデザイナーとコミュニケーションをしっかりと行うことが成功の鍵となるでしょう。

 


 

 

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