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『基盤Bの壁』を越えるためには

作成者: MEDICAL FIG. 編集部|Mar 14, 2025 9:29:12 AM

科研費の基盤研究Cには採択されるものの、基盤研究Bにはなかなか採択されないという悩みを持つ研究者は少なくありません。その背景には、単なる採択率の違いではなく、研究規模や計画の厳密性、競争環境の違いがあります。本記事では、基盤Bの採択を目指す研究者が押さえるべきポイントを整理し、申請書の改善に役立つヒントを提供します。

 

1. 基盤研究Cと基盤研究Bの違い

研究費と研究規模

  基盤研究B 基盤研究C
研究費 500万円以上2,000万円以下 500万円以下
研究の規模 中規模の共同研究も対象 小規模な個人研究向け
採択率 約28.0% 約27.5%
採択件数 約3,300件 約12,500件
研究費の平均額 約500万円 約126万円

基盤研究Bは、基盤研究Cに比べて1件あたりの研究費が4倍程度に拡大します。当然ながら、研究費の規模が上がることで、求められる計画のレベルも評価基準も厳しくなります。科研費では採択率が注目されがちですが、基盤CとBの採択件数をみると大きな違いがあることが分かります。

 

2. 『基盤Bの壁』の正体

「基盤Cには採択されるが、基盤Bにはなかなか採択されない」と感じる研究者が多いのは、採択率の問題ではなく、単純に基盤Bの採択件数が少ないことが主な要因と考えられます。

① 採択件数の違い

基盤研究Bの採択件数は基盤研究Cの約4分の1しかありません。当然、基盤Cで採択されても、基盤Bが「なかなか通らない」研究者が多くなるわけです。

② 競争の厳しさ

採択される絶対数が少ない=採択される計画は押しなべてハイレベルであり、必要な基本の評価要素のバランスがよく、平均的に高い研究が選ばれることになります。

基盤研究Bでは、

  • 研究費の規模が大きい  →  よりインパクトのある研究が求められる
  • 経験豊富な研究者も応募する  →  ライバルの層が厚くなる
  • 評価基準が厳格  →  研究計画の精度や実現可能性が厳しくチェックされる

といった特徴があり、採択枠が少ない状況の中、競争が激化することになります。

 

 

3. 基盤B採択のための戦略

基盤Bに通るための裏技はありません。全評価項目が平均的に強化して、穴のない計画を作ることが採択される道です。

研究計画の説得力を高める3つの要素

基盤Bでは、以下の要素がより厳しく評価されます。

  • 研究の新規性:既存の研究とどう違うのかを明確に示す
  • 学術的インパクト:研究成果がどのように分野を発展させるのかを強調する
  • 実現可能性:予算規模に見合った実施計画を具体的に示す

学術的インパクトの示すための3つの観点

科研費の審査では、学術的インパクトは次の3つの観点から評価されます。

  1. 新規性・独創性:どのような革新をもたらすのか
  2. 学問分野への貢献:分野の未解明の課題にどのようにアプローチするのか
  3. 波及効果・応用性:他分野への展開や社会実装の可能性

 

とはいえ、基盤Bは経験豊富な研究者が集まるため、バランスが良い研究計画が集まり、中々明確な差を出しにくいのも事実。
そのためには研究計画の魅力や良さを、よりわかりやすく伝える必要があります。そのために必要なのは、圧倒的に伝わりやすく、わかりやすいキービジュアルです。キービジュアルを活用し、研究の価値をわかりやすく伝える戦略が有効なのです。

 

4.良きキービジュアルは研究の真の力を引き出す

豊富な経験と深い知識を持つ審査委員ですが、必ずしも申請者の該当分野の専門家だとは限りません。専門性が高まれば高まるほど隣接分野でも知識に差がつく世界です。先端研究の専門外の第三者にも伝わることを意識することが重要です。
繰り返しになりますが、採択の鍵は研究の価値をいかにわかりやすく伝えるかということになります。

  • 研究の焦点を明確にし、キービジュアルで端的に表現する
  • 研究の強みを整理し、インパクトを最大限に伝える
  • 弱点をカバーし、審査員が納得しやすいストーリーを構築する

キービジュアルを検討することで、研究の強みと弱点が見えてきます。弱さを完全に補填することはできませんが、弱みをカバーし、強みをアピールデザインにすることで、よりバランスのとれた研究計画という印象を伝えることができるのです。

 

5. 基盤Bの壁を超える戦略的王道戦略「伝える努力」

研究に深く携わると、すべての項目が重要に思え、メリハリをつけにくいと感じることはありませんか?
また、審査委員ならきっと理解してくれるだろうという前提で書くことになり、結果として、説明不足に陥ってしまうことがあります。そうなると、実際の研究の魅力が理解されない申請書の出来上がりです。


科研費の申請は、ダイエットや体力づくりに似ているかもしれません。
適度な運動をする、PFCバランスをとるカロリーコントロールをする…、そんな理屈や理論を理解していても、自分自身ではなかなかコントロールしにくい部分があります。

  • 自分の研究はすべて重要に感じるため、情報の取捨選択が難しい
  • 自分の強みや弱みを客観的に把握するのが難しい

もし、上記のような悩みをお持ちなら、ぜひキービジュアルの作成にチャレンジしてみてください。おどろくほど、自分の研究を客観視することができます。

また、基盤Bではチームで研究を行うことも増えてきます。チーム内のコンセンサスや役割に応じたバランス配分など、研究者同士では言いにくかったり、気づきにくいポイントも出てきます。
こうした課題を克服するには、第三者の視点が有効です。研究の魅力や弱点を客観的に指摘し、強みを引き出す支援を得ることで、より効果的な申請書を作成できるようになるでしょう。

研究の価値を最大限に伝え、より大きな科研費獲得を目指しましょう。

 

 

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