2023年度基盤研究全体の採択率はわずか27.4%。
この競争の激しい環境で勝ち抜くために、まず、冒頭で自分の研究の魅力を審査委員に伝えましょう。
審査委員の興味を引くことが選ばれるための第一歩です。
この記事では、研究概要を効果的に示すキービジュアルの作成の心構えから作成方法を解説します。
よくできたキービジュアルは、面談ヒアリング審査がある場合のプレゼンテーションにも大きな力を発揮します。
科研費申請書のキービジュアルは視覚的にクリアでシンプルであることが求められます。
研究申請書はA4サイズ、物理的なキービジュアルの最大サイズはおよそ18㎝×10㎝です。
この限られたスペースのキービジュアルを作成する際に、ポイントの絞り込みとなる「情報の優先順位付け」が最大の難関です。
研究者は自身の研究に思い入れがあります。伝えたい内容はすべて多岐に渡り関連し、無駄な情報はひとつもないでしょう。そして、キービジュアルにすべてを込めようとしてしまいます。
自分の研究を客観視すること。
キービジュアルは自身の研究の『総説レビュー』だと考えてみましょう。
全部伝えたい…全部大事…この気持ちをぐっと我慢して優先順位付けをし、情報の引き算を行います。
研究の目的と主成果を明確にするコアメッセージを作成し、重要なキーワードを抽出し、情報の優先順位に基づき視覚的階層化を行い、適切なインフォグラフィックスを選定します。
それでも中々優先順位が付けれらない場合、次のマインドセットを試してみてください。
突然ですが、車の運転時の心構えを言い表した「だろう運転」、「かもしれない運転」という言葉をきいたことがありますか?
「だろう運転」は「車どおりが多いから飛び出しはないだろう」といったように自分の希望的観測に基づいてする運転のこと、「かもしれない運転」は危険予測運転とも呼ばれ、想定されるリスクをあらかじめ予測しておく運転のことです。
科研費申請における「だろう運転」とは、研究者が審査委員が既に特定の情報や研究の重要性を知っているだろうと過信することです。「審査委員はこの情報を知っているだろう」「この研究の重要性は理解しているだろう」といった希望的観測はすべてリスクだと当社は考えます。
反対に「かもしれない運転」は、審査委員が前提となる情報や研究の重要性を知らないかもしれないという前提に立ち、そのリスクをなくす方法です。
審査委員が持ち得る疑問や懸念を先読みし事前に明示し理解度を深める「かもしれない運転」が、研究内容の魅力を審査委員にわりやすく伝達する『キービジュアル』作成に必要です。
こんなことは常識すぎてわざわざビジュアル化する必要はない、審査委員に失礼ではないか?と心配される方がいます。
科研費申請を解説する名著『狙って獲りにいく!科研費 採択される申請書のまとめ方』(中嶋 亮太 すばる舎 2022)の中でも、「高校生にもわかるように書く」「専門用語は(なるべく)使わない」が2大ルールとして示されています。
科研費申請書のキービジュアルは、目的、新規性、背景、全体像、情報の関係性、段階的な論法などいった、「言葉では冗長になったり、伝わりにくい概念」を説明する時に力を発揮します。
専門外の審査委員にも伝わりやすく、研究ストーリーに引き込むためのものなのだという視点で、構成してください。
研究の強み、前提となる臨床的・社会的課題、研究の目的、手法、未来、研究の持つ5つの要素をビジュアル化しましょう。
SCOAP(スコープ)は株式会社メディカルエデュケーションが提案する科研費申請書のキービジュアル作成のためのフレームワークです。
科研費研究の提案や申請書において、研究計画の体系的かつ戦略的な提示をビジュアル化するための要素抽出を促すためのガイドラインとして機能します。
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