だれも教えてくれないGraphical Abstractの基本

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医学論文の世界で、研究成果を効果的に伝えるために重要な役割を果たすGraphical Abstract(GA)。

「Graphical Abstractを提出してください」とジャーナルの規定に書かれているけれど、一体どうやって作ればいいのか分からない…。そんな経験はありませんか?

最新の知識と自分で作成する際のコツを知ることで、あなたの論文の可視性を飛躍的に向上させることができます。本記事では、GAの基本から最新事情、歴史、活用方法、そして自分で作成するためのポイントをご紹介します。

 

GAのメリットは?

 GAありの記事の平均年間使用量は、GAなしの記事と比較して倍増しているという研究報告があります。
GAを用いることで、論文の閲覧数やソーシャルメディアでのアクセス数、引用数が有意に増加することが研究により示されています。また、ランクの高いトップジャーナルでの論文採用にはGAが必須となるケースが多く、静的なイメージから動画やアニメーションを含むよりダイナミックなコンテンツへと進化しています 。

出典:C.C. West, K.J. Lindsay, A. Hart,"Promoting your research using infographics and visual abstracts" , Journal of Plastic, Reconstructive & Aesthetic Surgery, Volume 73, Issue 12(2020), https://doi.org/10.1016/j.bjps.2020.08.054.

メリット1:読者の興味を引きつける

現代の情報社会において、読者の注目を短時間で引きつけることは非常に重要です。Graphical Abstractは視覚的に論文のエッセンスを伝えるため、第一印象で読者の関心を引きつける効果があります。

メリット2:研究の理解の促進

研究内容を視覚的に示すことで、専門外の読者や非専門家にも理解しやすくなります。複雑なデータや結果を簡潔に視覚化することで、読者が論文の要点を迅速に把握できます。

メリット3:ソーシャルメディアでの拡散

ソーシャルメディア上でのシェアは、研究の露出を高める大きな手段です。視覚的に魅力的なGraphical Abstractは、テキストのみの投稿よりも高いエンゲージメントを得ることができ、より多くの人に研究内容を伝えることができます。

メリット4:引用率の向上

Graphical Abstractを活用することで、論文の引用率が向上する可能性があります。視覚的な概要が多くの読者に研究の重要性を迅速に伝えるため、より多くの引用を獲得しやすくなります。

 

そもそもGAとは何か?GAの定義と歴史を紐解く

 GAは研究の主要な発見を一目で理解できるように視覚的に要約したもので、文脈を紹介し、使用した方法論を示し、研究の主要な結果を説明します。その呼称やフォーマットはジャーナルや研究内容によってさまざまです。

定義

研究の主要な発見を一目で理解できるように視覚的に要約したもの。
文脈を紹介し、使用した方法論を示し、研究の主要な結果を説明します。一般に、シンプルで伝わりやすく視覚的にインパクトがあるものが良いとされています。


その他の呼称

Graphical Abstract(Elsevier, Wileyなど)、Visual Abstract(Springer Natureなど)、Central Illustration(JACC)。
データサイエンスを主とするジャーナルにおいて、グラフ等統計データの要約を主とするものをGraphical Summaryと呼びます。
ジャーナルや一般的に別の意味合いも指すこともあるため、使用には注意が必要です。

 

Graphical Abstractの歴史

 歴史は1970年代と意外と古く、オンラインジャーナルの発展と共に活用されるようになりました。医学論文への応用は比較的最近の動きです。Graphical Abstractのコンセプトは、科学コミュニケーションの効率化を目指して生まれました。初期には主に図表として論文内で使用されていました。デジタル化の進展とともに、Graphical Abstractは進化を遂げ、オンラインジャーナルやソーシャルメディアでの使用が一般化しました。特に、NatureやScienceなどのトップジャーナルが採用することで、その重要性が広まりました。


1976年:化学誌においてGAが初めて登場。科学論文の視覚的要約としての役割を果たし始める。

1986年:「Tetrahedron Letters」誌がGAを導入。科学コミュニケーションの視覚化を促進。

1994年以降:他の主要化学誌がGAを採用し始め、化学分野における標準的な機能となる。

2002年:「Journal of the American Chemical Society」(JACS)がGAを導入。より多くの化学誌が視覚的要約の重要性を認識。

2010年:「Cell」誌が「Article of the Future」概念を発表し、GAを含む研究論文のオンラインプレゼンテーションの変化を述べる。科学出版物におけるウェブ技術の活用を強調。

現在:ソーシャルメディアでの活用。科学的知見の伝達とアクセシビリティの向上に寄与 。

参考:The art of abstracts. Nature Chem 3, 571 (2011). https://doi.org/10.1038/nchem.1109

 


 

GAはどこで使われている?

 GAはオンラインジャーナル登場をきっかけに発展してきた文化ですので、主にオンラインジャーナルや医療文献データベース、プレスリリース記事、研究者自身の発表用資料などで活用されています。
 具体的にはオンラインでの検索結果や目次等で、Journalのwebサイトやソーシャルメディアでの拡散で目にすることも多いでしょう。パブリッシュ記事のPDFファイルや印刷版には通常使用されません。
 
 

GA作成上の注意点

 最も大切な注意点は、GAの内容はAbstractの文面内容を超えてはいけないということです。
 GAはあくまで論文の要約であるAbstractのビジュアル化です。Abstractそのものが論文内容を超えられない以上、GAも論文で触れられていない内容を含んではいけません。
 Abstract
を超える内容を含めたり、論文に含まれない情報を追記したりするものはGAではありません。
 論文の背景やその後の展開、研究者の思いなどを伝えるためには、プレスリリース、申請資料、カバーレター、その他発表用のキービジュアルなどがあります。GAと似ていますが、GAとは対象も目的も異なる制作アプローチをとります。
 ただし同じ情報でも、デザインや見せ方で伝わり方に大きな差が出ます。

 

自分で”良いGA”を作成するには?

 アクセプト後にジャーナルからGA用のテンプレートが提供されるケースもあります。テンプレートが指定されている場合は、それに従って作成しましょう。
 テンプレートが存在せずGA提出を指示された場合は、以下のポイントを守ることで、正しいGAを完成させることができるでしょう。使用する画像は極力オリジナルの方がよいです。ビジュアル要素が必要だが自分で描けない場合は、プロのメディカルイラストレーターに相談すると良いでしょう。

 

  • 明瞭かつ簡潔に:複雑な図やテキストは避け、主要なメッセージを簡潔に伝えます。
  • 視覚的魅力:投稿誌の他のGAを参考にし、色彩やデザインを合わせつつ、視覚的に魅力的な印象を与えましょう。
  • 自己完結型:GAは論文の内容を単独で伝えられるように作成します。
  • 高解像度:画像は300dpi以上など、高解像度で作成します。
  • 適切なサイズとフォーマット:投稿ガイドラインを確認し、指定された要件で作成します。
  • 著作権と許可:使用する画像や図表に著作権がある場合、適切な許可を得て使用します。
  • タイトルとキャプション:簡潔かつ明瞭にし、図の内容を正確に反映させます。
  • 科学的厳密さ:誇張や誤解を招く表現は避け、科学的に正確であることを心がけます 。

 

 本記事はいかがでしたか?

 この記事がみなさまの研究成果を効果的に伝えるための一助となれば幸いです。
 自分でGAを作成するためのコツや参考事例をもっと知りたい方は、ぜひ下記リンクから解説PDFをダウンロードしてください。

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