医学専門のアイコンやピクトグラム制作事例

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プロフィール

西屋 克己 教授(関西医科大学教育センター長)
専門分野:医学教育学、医療者教育におけるアクティブラーニング、医療者教育における学生の学びの構造、小児科学

 

 関西医科大学教育センター長の西屋 克己教授に、医療者教育に活用するためのアイコン、ピクトグラムのデザイン・制作をご発注いただきました。

 医学論文FigureにおけるGraphical Abstractのデザインからスタートし、関西医科大学教育センター(以下、教育センター)のディプロマ・ポリシー※、37のコモンディジーズ※のアイコン化、など、継続して当サービスをご利用いただいています。
 今回は、西屋先生のご専門やセンターの活動を中心にお話を伺いました。

※ディプロマ・ ポリシー:大学や学部・学科等の教育理念に基づき、卒業を認定し学位を授与するために必要な要素を定める基本方針。学生の学修成果の目標となる。
※37のコモンディジーズ:文部科学省のモデル・コア・カリキュラムの中で規定されている、学生に指導しなければいけない37の症候・病態。

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-「医学教育学」はどのような研究をされる学問なのでしょうか?

 医学教育学という学問の主テーマは、医学教育に関係する実務研究です。狭義は医学部教育になりますが、最近では医学部教育だけではなく、看護学部やリハビリテーションなど、広く医療者教育を広く取り扱う学問です。

 

-関西医科大学では、2018年に看護学部が、2021年にリハビリテーション学部が開設されましたね

 はい。私がセンター長を務める教育センターは、関西医科大学における医学教育の実践が円滑に進むようにカリキュラムを考えたり、あるいは評価の仕方を考えたり、教員の育成に関する事柄を考えたりとか、大学教育に関わる全般を扱っています。
ご紹介いただきましたように、近年新しい学部が新設されました。医学部を中心に、看護学部リハビリテーション学部も含めた、三学部に共通するような教育に関する事柄については、教育センターが中心として扱っていく役割を担っています。

 

-なるほど。当社にご相談いただいたディプロマ・ ポリシーのビジュアル化は、まさに教育センターが目指す基本方針だったわけですね。

 さまざまな講義の場面で、このディプロマ・ポリシーを説明するシーンが本当にたくさんあります。
特にコロナ禍以降、オンライン授業が増え、より一層視覚にアピールするような必要性を感じるようになりました。学生に伝える際に、概念を視覚的に理解してほしいというように、イラストを取り入れるようにしています。
こうした「ディプロマ・ポリシー」のような固い概念も、イラスト化することによって、学生に柔らかく受け入れてもらえるのではないかと考えました。
ただ、自分のイメージに合った、しかも医学教育に関わるようなイラストっていうのはまず見あたらない。私は自分で絵が描けるわけではないので、どこか信頼してお願いできるところはないか探していました。img_contents01関西医科大学の基本方針の9項目のイラスト化をご相談いただいた

 

 

MEDICAL FIG.編集部:
実は、MEDICAL FIG.では、西屋教授にご依頼をいただく以前に、同教育センターの先生から、医学教育学をテーマにした論文のFigure作成の依頼を受けていました。MEDICAL FIG.のお客様のほとんどが、同僚やご友人からの口コミです。

 

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-この「37症候(コモン・ディジーズ)一覧」は、基本的な症例を教育するためのものとのことですが、具体的にはどういったご活用を予定されていますか?

 そもそも、この「37症候」は、文部科学省のモデル・コア・カリキュラムの中で規定されている、学生に指導しなければいけない症候・病態で(※ https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/06/28/1383961_01.pdf 69ページより)、さまざまな学生教育や、試験のシーンで頻繁に登場してきます。
 実は、以前ある先生が症候のイラストを作っておられるのを見たことがありまして、学生教育用に「あったらいいな」とずっと思っていたんです。
 できあがってみると、一枚で綺麗に見やすくまとまっているので、学生に話がしやすくなりました。
 37症候を概観するためのセットとしても使えますし、各症候ひとつひとつを講義する際に取り出して使うこともできます。
 教育実習でも、全体を勉強しなさいというのと共に、これらひとつひとつの授業もあるわけです。
 たとえば発熱の授業の際に、担当の先生にはこの中の「発熱」のアイコンを使ってください、というような感じで広く活用することを考えています。

当社に依頼して良かった点、もう少しこうしてほしかった、と思った点があれば教えてください。

 まず医学教育に関連するオリジナルイラストを作ってもらえる点が非常に大きいかなと思っています。
 人によって感じ方は違うのかもしれませんが、私は今までところ自分のイメージどおりのものを作っていただいてますね。
 しかも何回か無料で修正もしていただけて、そのスピードも早いので、あのスピード感で仕事していただけるのは非常にいい点だと思います。
 医学専門ということで、費用はそれなりにかかります。ただ、医学教育はやはり医学に関わる部分なので、普通のイラストではなくて、だからこそ医学をわかっておられる御社にお願いするのがいいのかなと思っています。

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 西屋先生のご相談は、医学論文専門のFigureデザインサービスを行う当社にとって、少し珍しい案件でした。医学論文のFigureで培った知見を、医学教育の実務の現場に応用する機会をいただけて、西屋先生には感謝しております。

 アイコン作成は受け手の解釈による差が出ないようにする作業で、専門性の高いものをシンプルに表現するのは、難易度も高く挑戦しがいのあるご依頼でした。

 『MEDICAL FIG.』には、本案件のようにアイコンやピクトグラムに特化したクリエーターが在籍しております。

 医学論文専門Figureデザインを軸に、本事案のように、学内全体の教育で使用できるなど知的財産権の取り扱いについて、医学論文以外の使用用途に即した使用権設計も行っています。